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睫毛(まつげ)の疾患
症例
眼科
睫毛疾患(睫毛重生、睫毛乱生、異所性睫毛)
睫毛の異常は犬に多く、猫では稀です。
主に3つのパターンがあり、異常な睫毛が角膜や結膜を刺激することでさまざまな症状を引き起こします。
①睫毛重生
マイボーム腺(涙液の産生に重要な脂腺)開口部からまつ毛が生えている状態。
②睫毛乱生(いわゆる逆さまつ毛)
正常な位置から生えている睫毛や付近の被毛の向きが異常で、それらが角膜に接触している状態。短頭種では鼻皺壁の被毛や涙丘の被毛が角膜に接触していることが多い。
③異所性睫毛
マイボーム腺から発生した睫毛が、眼瞼結膜を貫通して角膜を刺激している状態。
上眼瞼に発生することが多く、若齢での発生が多いです。
A:正常 B:睫毛重生 C:睫毛乱生 D:異所性睫毛
症状は?
睫毛や被毛によって角膜が刺激されるため涙液産生が過剰になり、流涙症が認められます。また、異常な睫毛の接触により角膜や結膜に炎症が起き、角膜の色素沈着や血管新生、慢性的な結膜炎を引き起こします。
異所性睫毛は常に痛みを伴い、時折角膜潰瘍を併発します。
診断は?
拡大鏡やスリットランプを使用して、睫毛異常の分類と眼表面(特に角膜)への影響を評価します。
眼表面に対する刺激を引き起こす他疾患(眼瞼疾患、ドライアイ、異物)などと鑑別することが重要です。
治療は?
睫毛重生は原因となる睫毛の除去が第一となります。ただ、睫毛はまた生えてくるため、4−5週間ごとの定期的な処置が必要となります。根本的には睫毛の毛包を除去または破壊し、永久的に脱毛させる処置が必要となります。
睫毛乱生の場合も原因となる睫毛の除去が必要となります。短頭種などでは睫毛や被毛の接触を避けるための形成外科手術が必要となる場合もあります。
異所性睫毛の場合は、毛根のある結膜ごと切除する方法が推奨されています。
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