胃瘻チューブ設置
症例
内視鏡外科
内視鏡を用いた胃瘻チューブ設置術
胃瘻(いろう)チューブとは、
胃に管(くだ)を入れそこから水分や食事、投薬を補給できるようになるものです。
適応
口の中の癌や、悪性腫瘍や慢性疾患による食欲不振、巨大食道症などの食道疾患などで、口からごはんが食べられない犬猫に対して、設置を検討します。
胃瘻チューブに感じる飼い主様の不安
我々が胃瘻チューブを提案した場合に飼い主様からよく聞く意見です。
チューブを付けてまで生かしたくない
それなら自然に最期を看取りたい
食事を自分の口からとれないのに、胃に直接入れ生かすのは抵抗がある
この延命の仕方は自分のエゴのように感じる
しかし獣医師の立場からすると、むしろ胃ろうチューブを入れた方が、飼い主さんも犬猫も幸せに過ごせるのではないかと思う場合があります。
胃瘻チューブは延命治療なのか
まず大前提として我々の行う医療は積極的な治療であれ、消極的な医療であれ、いずれも延命治療です。何もしないことで生まれる痛みや症状を緩和する、または完治を目指すことを医療として行っています。その延命治療のなかに、大きな延命効果や完全治癒が期待できるものと、大きな延命は期待できないものがあるだけであって、すべての治療は1日でも1分でも長く生きてもらうために行うものです。
その上で、胃瘻チューブは栄養補給という意味ではかなり大きな効果が期待でき、飼い主様とペット双方のQOL(生活の質)改善に繋がる治療です。
延命はしたくないが、余生は楽に過ごさせたい
通院は極力減らしたいが、投薬や給餌は家では難しい
これらの希望を理想に近づけるにはなおのこと胃瘻チューブを選択肢に考えて頂きたいです。
胃瘻チューブの設置法
設置には短時間の全身麻酔で内視鏡を用いて行います。
開腹など大きな切開は不要で皮膚に1cm程の傷ができる程度です。
設置後は、犬も猫も専用の洋服を着用するため、カラーなどのストレスもなく、ストレスフリーで過ごせます。
胃瘻チューブの管理方法
宮崎大学獣医学科の鳥巣教授の説明が非常に分かりやすいので参考にして下さい↓
胃瘻チューブ設置後も、自分で口からの飲食は可能です。
チューブが不要になった場合、無麻酔または鎮静で抜去が可能です。